そこで聞いた話は呆れるくらい、原稿料は安かった。ここで書くのは控えるが、1ヶ月20P描いてその額であれば個人が生活するのは難しいほど。下手すれば経費倒れになるかもしれない。週刊であったとしても、アシスタント1人雇うのも難しい。
「編集のバイトより給料が安い」というのは、あながち間違いではない。
Part.2 市場原理という現実
Part.3 幾つかの反論
Part.4 留まる水、流れる水
あくまで自分が聞いたのは又聞きなので信憑性に乏しいにせよ、その10倍貰って安定して(漫画作家としての)企業経営が出来る額になる。ただ、哀しいかな、ポルノ産業は日陰の存在であってそれほどメジャーにはならない。概ね十把ひとからげで計算されるのが現状だろう。
そもそも、エロ漫画雑誌は、販売数の「伸びしろ」がそれほど多くない。本屋に行っても取り扱っているスペースが狭い、あるいは置かれていない現状がそこにある。経営学にある、ナチュラルな意味での「チャンス・ロス(販売機会の喪失)」が余りにも大きすぎるためだ。
こういう死亡報告が出るたび、寂寥感を感じる。それが死亡して初めて知った作家の名前であったにせよ、それは変わらない。
ただ、漫画作家を持ち上げるような内容には少し違和感を感じる。何故なら「好きを職業にする」のは非常に難しいからだ。殊にスタンダードな知識・技術を要求されるのではなく、「作家性」という客商売は特にその傾向が強い。
ポルノ産業では概して「ポルノである事」がユーザへの訴求力たりえる。作家性というのはそれほど大きくは無い。
漫画であれば確かに「絵的なもの」が要求されるが、10年前ならまだしも、最近ではその「絵的なもの(作家性の違い)」の差異はそれほど大きくなくなっているような気がする。
目が大きくて可愛い、というのが最近のエロ漫画でも「美少女系」でもより好まれる傾向にある。そこから定点観測すれば、それほど作家性を求められる現状はない。
つまりエロ漫画家というのは、雑誌社本体から見ればスケジュール通りに「描いて貰える」のが好まれるのだと思う。きっちりスケジュール通りに仕上げろ、できればクオリティは高く、という所に落ち着くのではないか。
編集者としてもクオリティが高ければ高いほど人気が高まり社内的な立場も漸進的に良くなるだろう、と考え方になるのは当然だと思う。それが漫画家を苦しめるとはそれほど考えずに―――
コミックマーケットを見ればおのずと分かるけれども、エロ漫画家(予備軍も含める)というのは存外に多い。その中からようやくのし上がって「中堅」ないし「メジャー」となる。
冷たい言い方になるけれども、そういう現状を見れば、自分から見たら「職業選択を誤っている」のだと思う。よりよい幸せ―――世俗的な意味での―――を求めるのならば、多分漫画家を止めるべきで、
限りなく低いにせよ死亡というリスクを、限りなく高いにせよ生活の不安というリスクを負うのであれば、今のエロ漫画家という立ち位置を崩すべきではない、と思う。
これは自分の話になるけれども、自分の前職はSE(システム・エンジニア)だった。そこからのし上がってSE(セールス・エンジニア(技術営業))になるには、知識・技術の他にもう一つの要素がある。英語、という要素だ。
専門の方々には既知の要素ではあるが、CISCOやSUNを始め英語力を必要とする資格試験がある。
正直、将来を見据えるのが3年遅かった。それに気付いていれば、おそらくはもっと上にのし上がれたろうに―――今でもそれを気に病む時がある。後悔はしていないけれども。
また、市場の広がりを考えれば、英語力は必須となる。国内市場はそろそろ飽和状況に落ち着き、そこから篩いにかけられるフェイズに移行する、と自分は見ている。
無論、転職せずとも、食うに困らないではあったろうが(曖昧な言い方になるけれども)それでは魂が震えない。だから、5年程度とはいえ、そのキャリアを捨てて転職した。すでに半年近くが経過しているけれども、時折、その転職が正しかったか、今の業界にいるのが正しいのか、思いを馳せる時がある。
改めて書くけれども、作家の死亡というのは心が痛む。しかし、それを環境のせいにするには早計だと思う。
無念の死であろう事は想像できるけれども―――
自分と付き合いのある作家さんで、作家という立ち位置を真摯に考えている人がいる。
作家を職業にして、それで在り続けるのをアイデンティティーとしている。
正直、羨む気持ちも無いではないけれども、こういう人と付き合いがある、というのは、自分の視野を広げてくれる、という意味で大変貴重だ。
生活の安定があってこそ、そういう境地に立てるのかもしれないけれども、少なくとも(作家ではない)自分の立ち位置、そして亡くなられた方の立ち位置、そして今回、俎上にあがったエロ漫画家という立ち位置。
それを思うと、多分―――
Part.2 市場原理という現実
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エロ漫画家残酷物語 PART2
先日書いたブログ『エロ漫画家の死なぞ世界にとっては取るに足らないことだろう』に対し、いくつかのトラックバックをいただいた。それについては感謝をさせていただきます。少しでもこうした事実に対し、興味を持ってもらいたく書いたことなので。ただ、その中で気にな....
浦嶋嶺至のAREA41(『浦嶋礼仁』より改名) 2006年01月04日(Wed) 13:29
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